研究概要 |
4年計画の第2年度にあたる平成13年度は、20歳代の健常者70名を対象に、質問表(顎関節症の有無、既往、生活習慣、健康調査、口腔悪習癖、嗜好等)による調査、口腔内所見(欠損状態、咬合状態、歯列不正、開口量測定等)、心理テスト(CMI, SDS, MAS, Y-G, INV, TEG, Life Events and Life Changes)、下顎運動測定、咀噛筋筋電図検査、咬筋圧痛閾値測定を行った。 本研究では5年間の自然経過を追う予定であるが、以前から収集してきたデータを元に、追跡期間の中間となる2.5年経過時のデータも本年度に収集でき、本年度までで210人の結果を分析した。この210人の中で、初年度に顎関節症状を認めたものは20名、2.5年後に新たに顎関節症状を訴えた者が26名であった。発症者率が12.4%と他の報告とほぽ同じ頻度であり、調査対象が一般集団を反映したものであるとみなして差し支えないことが示された。質問表、臨床所見、心理テストに関してロジスティック回帰分析を行ったところ、質問表の結果からは新たに顎関節症状が出現した者では、顎関節雑音が関与していた傾向が窺えた。これらの結果を日本顎関節学会学術大会ならびに日本補綴歯科学会東北・北海道支部学術大会に於いて発表した。また、心理テスト結果からは神経症傾向ならびに情緒不安傾向が発症と関連が高いことが判明し、日本歯科心身医学会雑誌(16巻25-30、2001)に発表した。 次年度以降さらに調査を進め、本研究期間中に5年経過時のデータ収集を行う予定であり、顎関節症発症に関する寄与因子を検索し予防手段を講じる上での根拠となりうる結果を得られることが期待される。
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