研究概要 |
本年度は青年男子と水泳を日常スポーツとしている人の自然立位において,肩および腰の高さの左右差と左右的偏位量,頭蓋の傾きと偏位量などの正面像を,重力線を基準として形態的に比較検討した。 被検者は,全身および顎口腔系に自他覚的異常がなく平衡機能障害が認められない者で年齢21〜28歳の健康な男子43名と,水泳を日常スポーツとしている年齢18〜24歳の健康な男女28名である。 測定時の条件は,開眼時と閉眼時における歯牙接触位と咬頭嵌合位の2顎位とし,重力線を基準に,肩(左右肩峰),腰(左右上前腸骨棘)の高さの差と偏位量,頭蓋(ナジオン相当の鼻根部と人中下点を結んだ線)の傾斜と偏位量,頭蓋(ナジオン相当の鼻根部と人中下点を結んだ線)と下顎(人中下点と頤下点を結んだ線)の角度差の測定を行い,比較検討した。 両者の各条件における,Q1,Q3区間(中央50%区間)では,青年男子において,肩は若干右が高く中心は左にずれる傾向で,腰も右が高い傾向にあるが,中心は,肩に比較してほぼ重力線に近いという結果であった。また,水泳スポーツ者においては,肩は右が高く,腰はほぼ水平になる傾向で,中心は,肩は重力線に近く,腰は右側偏位の傾向であった。また顔面部では,各計測値共に水泳スポーツ者の方が,青年男子に比較して傾きやズレが少ないという結果であった。また開眼咬頭嵌合位の条件では,他の条件に比較して,Q1,Q3区間は最も小さいという結果であった。
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