研究課題/領域番号 |
12470435
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
籐内 祝 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50172127)
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研究分担者 |
小林 猛 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10043324)
光籐 健司 名古屋大学, 医学部, 助手 (70303641)
林 康司 名古屋大学, 医学部, 講師 (10238131)
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キーワード | 温熱療法 / 磁場誘導組織内加温法 / 舌癌 / VX-7移植舌腫瘍 / 放射線療法 / 温熱放射線療法 / マグネチックカチオニックリポソーム / MCL |
研究概要 |
磁場発生装置(最大出力10kw、周波数64kHz、内径7cmの誘導コイル、中心で最大450ガウス)での磁場下において、微粉末磁性体をカチオニックリポソームで封入したもの(Magnetic Cationic Liposome:MCL)が寒天ファントム(あるいは腫瘍組織)内での温度計測を行った結果、52℃までの温度上昇が確認され、温熱療法の抗腫瘍効果が十分に期待されることが判明した。そこでVX-7移植舌腫瘍にMCLを局注し、組織内温熱療法単独の腫瘍効果を検討した。腫瘍径が10mmになった時点(移植後10日目)でMCLを0.4mlを局注し腫瘍内にMCLを充満させ、温熱療法を30分の1回のみの加温を行うと、4週後には腫瘍は消失が確認された。しかし、MCLを0.2mlの局注し温熱療法を行った場合、4週後には腫瘍の残存がみられた。そこで、放射線療法との併用実験でのMCLの局注量は0.2mlとした。また、腫瘍径が10mmになった時点で、放射線単独の抗腫瘍効果をみたが、2Gy/day x10daysだと4週後には腫瘍は消滅した。そこで5日間の照射のみでは腫瘍の残存がみられたのでMCLとの温熱療法併用による実験ではMCLを0.2mlの局注し温熱療法を行い、放射線療法は2Gy/day x5daysとした。この温熱、放射線併用療法を行った結果4週間後には腫瘍の残存はみられなかった。以上のことから、MCLの局注による組織内温熱療法はMCLが腫瘍内の全てを充満できれば温熱療法のみで腫瘍の消失は得られたが、局注の場合、MCLの完全な腫瘍内の充満の確認が困難である場合も十分に考えられる。特に、腫瘍の進展症例では温熱療法のみでは根治は困難である。そこで放射線療法を併用することによって、MCLの腫瘍内の完全な充満が得られない場合でも完全な抗腫瘍効果が認められ、きわめて有用であると思われた。
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