研究課題/領域番号 |
12470438
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
加藤 逸郎 大阪大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60314390)
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研究分担者 |
松村 達志 大阪大学, 歯学部・附属病院, 医員
森山 知是 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (90314385)
中澤 光博 大阪大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70217701)
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キーワード | Squamous cell carcinoma / lymph node metastasis / Lung metastasis |
研究概要 |
当科で継代培養している高悪性の口腔扁平上皮癌株Fl細胞をヌードマウスに皮下接種し、肺転移巣したものを更にin vitro培養し、再度皮下接種するといった過程を繰り返すことで、高肺転移株(L)を確立した。このようにして得られたL細胞と親株(Fl)の腫瘍生物学的特性について比較検討した。その結果、L細胞は皮下移植により肺に多数の転移結節を形成していたが、Fl細胞では転移結節は殆ど見られなかった。また、形態的にはFl細胞はconpactに凝集するコロニーを形成するのに対し、L細胞は細胞間がlooseなコロニーを形成する特徴が見られた。 両細胞をヌードマウスに接種した時には、腫瘍の増殖速度に殆ど差は見られなかったのに対し、in vitroでは、L細胞はFlの約2分の1の増殖速度であった。また、Fl細胞は元来白血球増多症を起こしていたが、in vivoでは、腫瘍体積あたりの白血球数はLで1×10^5/cm^3、Fl細胞で5×10^4/cm^3と、L細胞では有意に白血球が増加していた。これをin vitroでみると、L細胞は48時間培養により培養上清中に20ng/ml(Fl細胞の約50倍)というかなり高濃度のG-CSFを産生していた。更にrG-CSF及びG-CSF中和抗体を用いた実験結果より、G-CSFは、弱い自己増殖促進因子として働いていることが明らかになった。また両者は、免疫組織染色より共にG-CSF受容体(G-CSFR)を発現していることが明らかになった。来年度は同様にして得られた高リンパ節転移株(N)においては、どのサイトカインが増減しているのかを比較検討したい。また、Fl細胞においてG-CSFが果たす役割についても検討してゆく予定である。
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