研究課題/領域番号 |
12470440
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科系歯学
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
長山 勝 徳島大学, 歯学部, 教授 (30022867)
|
研究分担者 |
桃田 幸弘 徳島大学, 歯学部, 助手 (00304543)
藤澤 健司 徳島大学, 歯学部, 助手 (40228979)
鎌田 伸之 徳島大学, 歯学部, 助教授 (70242211)
|
研究期間 (年度) |
2000 – 2002
|
キーワード | 扁平上皮癌 / 無蛋白培養 / Snail / 細胞浸潤 / テロメラーゼ / 上皮間葉移行 / 不死化口腔粘膜上皮細胞 |
研究概要 |
口腔扁平上皮癌は浸潤・転移によって予後が左右され、その機構を解明するには、癌やその周囲組織が産生するサイトカインや蛋白分解酵素などの解析が重要である。また、扁平上皮癌細胞の性質を理解するには、正常口腔粘膜上皮細胞との比較検討が必須である。一般に癌細胞はウシ胎児血清等を添加した培地で培養され正常上皮細胞とは培地が異なるため、これらの細胞を同一の条件で比較することは困難である。また、正常細胞は分裂ごとにテロメアのDNAの短縮がおこり、老化により細胞の性質が変化するため、扁平上皮癌細胞と正常口腔粘膜上皮細胞を比較するには、これらの増殖を支持する無蛋白培地と安定した性質を有する不死化口腔粘膜上皮細胞の開発が重要である。 本研究では、まず無蛋白培地FLDSを開発し、カルシウム濃度の調整だけで扁平上皮癌細胞と正常口腔粘膜上皮細胞の培養を可能にした。さらに、上皮-間葉系移行に関連する転写因子であるSnailを発現している扁平上皮癌細胞では、E-カドヘリンの発現が消失し浸潤能が高いことを示した。FLDSを用いてSnail発現細胞と非発現細胞に対するEGFとHGFの影響を検討したところ、EGFとHGFはSnail非発現扁平上皮癌細胞の増殖を抑制した。さらに、細胞外基質分解酵素であるマトリックスメタロブロテアーゼ2は、Snail発現により上昇することを示した。また、テロメラーゼ関連因子であるhTERTと細胞不死化能を有するHPV16やSV40を組み合わせて細胞に導入したところ、hTERTとHPV 16 E7遺伝子導入によって不死化口腔粘膜上皮細胞株を樹立することに成功した。この細胞はウシ脳下垂体抽出物とEGFを含む無血清培地を用いた実験では、正常な分化能を有していた。 今後、この不死化細胞の無蛋白培養系を確立し、扁平上皮癌細胞と詳細に比較検討することが課題である。
|