研究概要 |
初年度に作成した顔面部の癌性および神経因性疼痛のモデルの作成を使用して,手術後21日目から25日までの癌細胞(Lytic tumor cell)注入部への触刺激にこよる低域値刺激に対する反応を観察した。また、これらのラットに大槽よりITにループ型マイクロダイアリシスプローべを挿入し、先端が三叉神経核レベルに位置するよう留置し、手術後1、3、7、14日の脳脊髄液中glutamate濃度変化の検討をダイアリシスプローべからの人工脳脊髄液潅流を利用して検討した。ラットは任意に(1)偽手術群:開創術のみ。(2)非治療群:生理食塩水を持続静注に分け、透析液中のglutamate濃度をOPA誘導体化して、HPLC-ECD法で定量的に測定した。 その結果、癌性および神経因性疼痛のラットの低域値刺激に対する反応では神経因性疼痛ラットでは術後5日日頃から疼痛が出現し、癌性疼痛ラットでは術後20日目頃に出現することが明かとなった。脳脊髄液中glutamate濃度変化の検討では神経因性疼痛ラットで7日目頃に髄液中glutamate濃度が著明に上昇することが明かとなった。 現在、分子生物学的(病理学的)検討として、癌性および神経因性疼痛ラットの術後21,22,23,24日後および1、3、7、14日目に三叉神経脊髄路核の組織切片を作成してprogrammed cell deathに関係すると考えられるc-fos遺伝子発現をin situ hybridization法にて検討している。また、異なる組織切片でDNA断片化に対するTUNEL染色とFas、Fas-ligandに対する免疫染色を施して検討している。次に、programmed cell deathがラジカル、サイトカインとどのような相互関係を有するかを検討するために、ニカラベン(OHラジカル捕捉剤)、interleukin-1 receptor阻害薬、TNF-α阻害薬を経静脈的に投与して遺伝子発現と細胞死を観察している。
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