研究概要 |
ストレス認知や情動発現といった複雑な脳ニューラルネットワーク機構によって形成される高次脳機能への,ストレス,そしてベンゾジアゼピン系薬さらに非ベンゾジアゼピン系薬の作用を検討した.Wistar系雄性ラットにマイクロダイアリシスを行い,無麻酔・無拘束・自由行動状態の実験動物にストレスを負荷した際,さらにミダゾラムとY-23684を投与した際の脳内神経伝達物資の動態から検討した.ニューラルネットワークの観点から脳内神経系の細胞体とその神経投射部位にマイクロダイアリシスプローブを稙入する,デュアルプローブマイクロダイアリシスを用いた.脳内神経伝達物質の定量は、高速液体クロマトグラフィー・電気化学検出器を用いて行い,ノルアドレナリンとドーパミンの同時定量を行った. その結果,青斑核-大脳皮質内側前頭前野ノルアドレナリン神経系において,ハンドリングストレスによる,大脳皮質内側前頭前野の神経活動の亢進を観察した.次に,ストレスのない状態での青斑核への灌流投与によって,ミダゾラムは,大脳皮質内側前頭前野のノルアドレナリン神経活動を抑制しなかったが,Y-23684は抑制することを観察した.さらに,ハンドリングストレスによる大脳皮質内側前頭前野のノルアドレナリン神経活動の亢進は、ミダゾラムそしてY-23684の青斑核への灌流投与により抑制されることを観察した.以上の知見は,青斑核-大脳皮質内側前頭前野ノルアドレナリン神経系活動のストレス認知や情動発現への関与を示唆するものと考えられ,さらにミダゾラムとY-23684の抗不安作用の作用機構として,ストレス時における青斑核-大脳皮質内側前頭前野ノルアドレナリン神経活動があることが示唆された.
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