シェーグレン症候群の口腔病変に関する免疫生物学的研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12470448
• 研究機関: 獨協医科大学
• 研究代表者: 藤林 孝司 獨協医科大学, 医学部, 教授 (80013978)
• 研究分担者: 酒井 英紀 獨協医科大学, 医学部, 講師 (60292976) ; 佐々木 忠昭 獨協医科大学, 医学部, 講師 (40225876)
• キーワード: シェーグレン症候群 / 口腔乾燥症 / 診断基準 / 1次性シェーグレン症候群 / 2次性シェーグレン症候群 / MR-Sialography / 唾液分泌量 / ガム試験

研究概要

シェーグレン症候群の診断基準は1999年改訂され新しくなった。この際に診断のために必要となる各種検査所見について1次性シェーグレン症候群(SS)症例と2次性シェーグレン症候群(SS)症例との間で比較検討した。検索対象は1996年12月から2000年9月までに診察し、1999年の改訂診断基準でSSと診断された91例で、1次性SSが43例、2次性SSが48例であった。口腔乾燥自覚症状スコア、他覚症状スコア、ガム試験、唾液腺シンチグラフィー、唾液腺造影撮影、口唇腺生検、Schirmer試験など各種検査所見について検討した結果、1次性SS症例と2次性SS症例との間には統計学的な有意差は見られなかった。このことから1次性SSと2次性SSとは同一の基準でSSとしての診断は可能であることが示唆された。
またMR-sialographyと従来の耳下腺造影撮影法との相関関係について検討した。対象はMR-sialographyを行った50例と従来の耳下腺造影撮影で検査を行った92症例でMRI装置はMagnetom Vision 1.5T、受信用コイルはCP-Head Coilで撮影条件TR/TE=9500・259msパルス系列は脂肪抑制併用の2D-FSE法で撮像し、原画像をMIP処理し、側面の再構成像をMR-sialography像とした。両画像の比較を行ったところ相関係数0.824で有意な正の相関を認めた。またSS診断に対する感度、特異度を比較したところ両検査でほぼ同様の結果を得た。このことからシェーグレン症候群の診断をMR-sialograhyで行っても従来の造影剤を使用する造影撮影とほぼ同等な診断精度が得られるものと考えられた。
唾液分泌量の測定法についてもガム試験の方法を中心に検討した。味なしガム、ミント味のガム、梅味のガムの3種のガムについて、それぞれの基準値の下限をどこに設定するのがよいかを検索した。

研究成果

• [文献書誌] 藤林孝司: "シェーグレン症候群の診断の進め方"アレルギー・免疫. 8・9. 975-983 (2001)
• [文献書誌] 藤林孝司: "口腔粘膜疾患"Modern Physician. 21・8. 1169-1173 (2001)
• [文献書誌] 渡辺八州郎, 藤林孝司, 後藤 聡, 武田真由美: "シェーグレン症候群改訂診断基準による各種検査結果の比較検討"日本口腔粘膜学会雑誌. 7・2. 71-78 (2001)
• [文献書誌] S.Gotoh, S.Tomitsuka, T.Fujibayashi: "A study of the chewing gum test as a sialometry for the diagnosis of Sjogren's syndrome"2001 International Oral Medicine Meeting Montreal. (2001)
• [文献書誌] T.Fujibayashi, M.Takeda, S.Gotoh, Y.Watanabe: "Assessment of magnetic resonance sialography in the diagnosis for Sjogren's syndrome"Oral Surg. Oral med. Oral Pathol. Oral Radiol, Endodontics. 91・4. 414-414 (2001)
• [文献書誌] 後藤 聡, 加藤洋史, 横山朋子, 富塚清二, 藤林孝司: "シェーグレン症候群の診断における唾液分泌量測定法としてのガムテストの検討"日本口腔粘膜学会雑誌. 7・2. 109-109 (2001)
• [文献書誌] 藤林孝司: "口内炎・口腔乾燥症の正しい口腔ケア"医薬ジャーナル社. 70 (2001)