研究概要 |
シェーグレン症候群の診断華準は1999年改訂され新しくなった。その第2項目は口腔検査であり、唾液腺造影撮影かまたは唾液分泌量の測定と唾液腺シンチグラフィーの組み合わせとなっている。そこで唾液分泌量の測定法として定められたガム試験について検討した。ガム試験の再現性、ガムの種類による違い、およびSaxonテストとの相関を調べた。再現性の検討は20名の健常人を対象に行い、ガム試験を3回反復して行なった結果、3回の測定値に有意な変動は認められなかった。異なるガムの種類を使用した場合の違いの検討は、シェーグレン症候群患者群36例と対照群38例を対象に行い、3種類のガム(Gum base, Mint-flavored, Plum-flavored)でこれら対象2群間の唾液分泌量を比較した結果、いずれのガムもシェーグレン症候群の診断に用いることが出来るが、その基準値はGum baseとMint-flavoredでは10ml/10分が妥当であったが、Plum-flavoredでは14ml/10分が適切であると考えられた。ガム試験とSaxonテストとの相関の検討はガムの種類によりr=0.838,0.843,0.837などでいずれも有意な相関を認めた。これらのことからガム試験はシェーグレン症候群の診断における唾液分泌量測定法として有用であると考えられた。 小唾液腺病理組織像は診断基準の第1項目として重要であるが、顕微鏡とパソコンを連動させた画像の定量的解析装置にて検討した。シェーグレン症候群の25症例の125個の口唇腺病理標本で解析した結果、口唇腺の平均面積は2.77mm^2、小葉の平均面積は0.55mm^2,focusの平均面積は0.0638mm2,focus中の平均リンパ球数は345個であった。このようなリンパ球浸潤病巣の定量的解析は病変の解析上でも有用で今後の発展が期待される。
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