研究課題/領域番号 |
12470455
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白川 哲夫 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00187527)
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研究分担者 |
菊入 崇 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10322819)
長谷川 智一 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50274668)
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キーワード | 歯根膜細胞 / 骨髄細胞 / 共存培養 / 破骨細胞誘導能 / 伸展培養 / Receptor activator of NF-kappa B ligand (RANKL) / Osteoprotegerin / 血管内皮増殖因子(VEGF) |
研究概要 |
ヒト由来培養歯根膜細胞に持続的伸展力を加えることにより、1)歯根膜細胞が有する破骨細胞誘導能がどのように変化するか、2)歯根膜細胞が血管内皮新生にどのような影響を与えるかを検索した。歯根膜細胞を伸展培養用プレートに播種し、培養液に活性型Vitamin D_3とdexamethasoneを添加して伸展率15%、伸展頻度60回/分、6時間の伸展培養を行った。同様の条件下での静置培養を比較対象群とした。伸展刺激後に行ったマウス骨髄細胞との共存培養系における破骨細胞形成は、伸展培養群で有意に低下していた。伸展刺激後の歯根膜細胞でのRANKL mRNA発現量を定量的RT-PCR法で測定したところ、静置培養群に比べ約40%の低下がみられた。また、伸展後の培養液中のOsteoprotegerin(OPG)量は、静置培養群に対し約2倍に増加していた。これらの結果は、伸展刺激を加えた歯根膜細胞と骨髄細胞との共存培養下でみられた破骨細胞誘導の抑制が、歯根膜細胞が産生するRANKLの減少ならびにOPGの増加を反映したものであることを示している。さらに、伸展刺激後の歯根膜細胞での血管内皮増殖因子(VEGF)の産生を、mRNA発現ならびに蛋白レベル(ELISA法による)で調べたところ、mRNAが静置培養群に比べ約50%増加し、蛋白は2倍以上の濃度を示した。この結果は、歯根膜細胞が血管の増殖を調節する機能を有しており、伸展刺激が血管の増殖に促進的に働くことを示唆している。今後、RANKL、Osteoprotegerin、VEGFが歯周組織の恒常性維持にどのように関与しているかについて、それらの相互作用ならびに伸展活性化との関係を含めて検討する予定である。
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