研究概要 |
機能的磁気共鳴画像(fMRI)は、ヒトの高次脳機能を非侵襲的かつ安全に解明する手法として、近年きわめて注目されている。本研究では、このfMRIを用いて、側方への舌運動に伴う脳賦活領域を同定することを目的とした。神経疾患の既往がない右利きの成人男性3名(26〜28歳、男性2名)を被験者とした。実験前に十分な説明を行ない、インフォームドコンセントを得た。課題は、(1)舌の前方への運動(2)右への側方運動(3)左への側方運動(4)安静をそれぞれ1ブロック(28秒)とし、1回の撮像で各課題をカウンターバランスし、3回繰り返すように配置し撮像した(Siemens Magnetom Vision 1.5T,TR=7.0s,128×128 matrix,voxel size 3×3×4 mm,40 slices)。データ解析にはSPM99を用いた。前方および側方への舌運動時には、安静時に比べて、両側の大脳皮質一次感覚運動野、補足運動野、小脳が賦活された。また、側方運動時の一次感覚運動皮質の賦活レベルは、反対側優位であった。以上のことから、fMRIを用いることにより、舌運動と関連する脳領域を非侵襲的かつ安全に同定することができるとともに、側方への舌運動に伴う一次感覚運動皮質の賦活レベルに左右差があることが判明した。
|