研究概要 |
機能的磁気共鳴画像(fMRI)は、ヒトの高次脳機能を非侵襲的かつ安全に解明する手法として、近年きわめて注目されている。本研究では、このfMRIを用いて、舌運動制御における大脳半球優位性を咀嚼運動との関連から検討した。神経疾患の既往がない右利きの成人8名を被験者とした。実験前に十分な説明を行ない、インフォームドコンセントを得た。課題は、(1)舌の前方への運動(2)右への側方運動(3)左への側方運動(4)安静をそれぞれ1ブロックとし、1回の撮像で各課題をカウンターバランスし、3回繰り返すように配置し撮像した(Siemens Magnetom Vision 1.5T, TR:4117ms, 64×64matrix, voxel size3×3×3mm, 40slices)。データ解析にはSPM99を用いた。習慣性咀嚼側の同定は実験後に質問表を用いて行った。その結果、習慣性咀嚼側を有する者が6名、有しない者が2名と判定された。側方および前方への舌運動に伴う賦活が大脳皮質一次感覚運動野に認められた。さらに、習慣性咀嚼側を有する者において習慣性咀嚼側と反対側の一次感覚運動野の賦活強度の方が同側の賦活強度と比較して有意に大きかった。
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