研究概要 |
抜去歯から得たヒト歯根膜組織を直接Flex bottom plateにおき,細胞を遊離させsubconfluenceに達した細胞に対して伸展力によるメカニカルストレスを一定時間付与した。同一被験歯から得た組織片の細胞を対象として両者からtotal RNAを抽出し,cDNAに逆転写後radio isotopeで標識した。両者のmRNAの発現の違いをmicro array法を用いて約1100種類の既知遺伝子について解析した。メカニカルストレスにより発現が増強される遺伝子と,発現が抑制される遺伝子が同定された。一方,ヒト歯根膜の組織片から遊離してくる細胞を継代後Flex bottom plateに播種し,その細胞に対しメカニカルストレスを付与する同一の実験を行った。同様にメカニカルストレスのmRNA発現に対する影響をmicro array法により検討したところ,前述の結果をある程度反映しているものの,継代後の細胞はストレスに応答する遺伝子の数が少なく,その絶対的変化量も小さかった。これらよりヒト歯根膜細胞は,継代によりストレスに対する応答性が低下したクローンの選択がおこっていること,あるいは継代培養による細胞の老化がストレスに対する応答性を低下させている可能性が示唆された。次年度は現在までに報告されていないcytokine,growth factor様の遺伝子,signal pat hwayに関与する遺伝子を選択し,それらの遺伝子のメカニカルストレスに対する応答性をRT-PCR法により詳細に解析をすすめる予定である。
|