研究概要 |
第三リン酸カルシゥム(TCP)から厚さ50〜100μmのTCPシートを作製した。そのTCPシートを脱灰エナメル質に密着させ,その上からQスイッチYAGレーザ(波長355nm)の照射を行って,シートにレーザアプレーションを発生させ,エナメル質再石灰化に及ぼす影響を観察した。 厚さ100μmのTCPシートは,平均粒径が約5μmの4-TCPで作製した。そのTCPシートをエナメル質に密着させ,QスイッチYAGレーザ(LUMONICS, YAGMASTER YM-1200)の基本波長1064皿を非線形光学結晶の第3高調波(355nm)で120mJ,3,000shotsのレーザ照射をし.てから,人工唾液による浸漬処理を行った。その結果,エナメル質の表層にTCPと考えられる堆積物が肉眼的にも認められた。レーザ照射群と非照射群のエチメノ噴片をそれぞれ樹脂包埋をし、ミクロトームで切片を作製して,表層部の断面を光学顕徴鏡およぴSEMで観察した。レーザ照射群では約100μmの厚さでTCPの固着性を有した堆積層が認められ,さらにその堆積物は人工唾液処理による再石灰化層に覆われていることが観察された。一方,レーザ非照射群では表層の脱灰層の上に人工唾液浸漬による再石灰化層のみが観察された。 QスイッチYAGレーザの第3高調波(波長355nm)は,TCPシートをレーザアプレーションによってTCPを脱灰エナメル質表層に固着させ,その後の人工唾液浸漬によってTCPがハイドロキシアパタイトに転移し,エナメル質の再石灰化反応に寄与した。
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