研究概要 |
口腔内での再石灰化能は,数ミクロンから十数ミクロンに限局されたエナメル質表層でしか起こり得なく,その領域を越えて脱灰が生じた場合,再石灰化能が作用せず齲蝕病巣へと移行していく。本研究は,通常の再石灰化能を越えた脱灰エナメル質に対して,微細粒子の第三リン酸カルシウム(TCP)で作製したTCPシートを被覆し,レーザアブレーションにより脱灰層を再石灰化(修復)することを目的としている。厚さが数十から100ミクロンのTCPシートを作製して,これを脱灰エナメル質に被覆,その上からCO_2およびYAGによる熱レーザ,あるいは紫外波長域のエキシマレーザを照射して,シートのレーザアブレーションによってサブミクロンのTCPを粗像エナメル質に固着させ,脱灰エナメツ質の修復(再石灰化)を促進させるものである。エキシマレーザは,エナメル質に非熱性の化学的および物理的現象を起こさせると考えられている。一方,熱レーザでも照射条件を確立することによって,限定した部位でレーザアブレーションを発生させ,その現象がエナメル質の再石灰化に寄与するものと考えられた。 微細粒子の第三リン酸カルシウム(TCP)から作製したシートを脱灰ナメル質に密着させ,QスイッチYAGレーザの第3高調波(355nm)を120mJ/cm^2,2,000shots照射することで,TCPシートの脱灰エナメル質固着性が高まり,その後の人工唾液浸漬により同部位の再石灰化が促進された。
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