研究概要 |
活性O,O-アセタール、O,S-アセタール、N,S-アセタールの、新規立体制御法の開発と新規官能基導入試薬としての利用、アセタール構造の種類による生物活性に及ぼす影響などを中心課題として研究を行った。 まずO,O-アセタールに関しては、同一分子内にオレフィンとアセタールを併せ持つエンアセタール類の分子内ハロエーテル化反応で、キラルなオキソニウムイオン種を生成し、まず、1)σ-対称ジエン類の不斉非対称化-多不斉中心の立体選択的構築として、シクロヘキサジエンアセタールの立体選択的ハロエーテル化反応により2個の二重結合の識別に成功した。さらに数工程を経て3個の不斉中心を一気に構築できた。また2)σ-対称ジオール類の不斉非対称化として、我々の見い出した光学分割法により、エンド置換基を有するノルボルネンアルデヒド化合物を得、メソ-1,3-ジオールの不斉非対称化を高収率、高立体選択的に行うことに成功した。 またO,S-アセタールに関しては、我々独自の手法により、収率良く単離したキノンモノ-O,S-アセタール体とシリルエノールエーテル及び電子豊富な芳香族化合物の、穏和な条件下で収率良く進行する新規なスルフェニル化反応を見いだした。一方、芳香族化合物を求核種としてキノンモノ-O,S-アセタール体と反応させ、アセタール炭素β位でのSN2'反応が進行し炭素-炭素結合形成した化合物を与えることを見いだした。またキノンモノ-O,S-アセタール体の構造を修飾することにより上記の硫黄原子あるいはアセタール炭素β位への求核反応のルートを制御できることを見いだした。 一方、N,S-アセタール合成に関しては超原子価ヨウ素試薬を用いるスルフィドへのα位アジド化法を既に見い出しているので、今年度はその不斉化の検討を行った。現在のところ、満足できる結果は得られていないが、次年度は更なる改良を加えたい。
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