研究概要 |
1.炭素配位子上に不斉源を組み込んだ最初の光学活性超原子価有機ヨウ素化合物であるR-ジアセトキシビナフチルヨーダンをLewis酸(BF_3)存在下にアリールケイ素(またはアリールスズ)と反応させて、ケイ素(スズ)-ヨーダン交換反応を実施し、不斉ビナフチルアリール-λ^3-ヨーダン及びその誘導体(ビナフチル基の2'位にベンジル基を導入した不斉ビナフチルアリール-λ^3-ヨーダン)を収率良く合成した。また、これらの超原子価ヨウ素化合物の立体化学をX線結晶解析により決定した。超原子価ヨウ素は平面4配位構造であり、ナフチル基とフェニル基との間にはベンゼン2量体に類似の相互作用が見られる。 2.エノラートアニオンの直接的不斉アリール化反応を検討した。不斉ビナフチルアリール-λ^3-ヨーダンとβ-ケトエステル由来のエノラートアニオンとの反応を種々の反応条件下(反応温度、溶媒、及びエノラートアニオンにおける対カチオン等の検討)に調べた。現在、50%の不斉収率でエノラートアニオンの直接的不斉アリール化反応が進行している。 3.不斉ビナフチル基を導入したβ-アセトキシビニル-λ^3-ヨーダンから光学活性モノカルボニルヨードニウムイリドを合成することに成功した。また、脂肪族アルデヒドと光学活性モノカルボニルヨードニウムイリドとの反応をTHF中で実施したところ、85%程度の不斉収率でα,β-エポキシケトンが得られることを見出した。現在、反応溶媒について詳細な検討を実施しており、より不斉収率の高いα,β-エポキシケトンの合成反応を開発する。
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