目的:医薬品製剤として、種々の非2分子型脂質ナノ粒子(100-200nmあるいは30-50nmのキュボソーム、ヘキソゾーム、エマルション)を調整し、その動物体内での挙動を明らかにする。このため、各種の物理化学的方法で粒子の内部および表面の構造とその物性を明らかにする。次に血漿蛋自質との相互作用、リパーゼによる粒子の消化を調査し、これらと動物血中の挙動の関係を研究する。 結果:レシチンとヂアシルグリセライドから生成するヘキサゴナル液晶から安定に分散された粒子が生成することをX線小角散乱と動的光散乱測定に基づき明らかにした。キュボソームとヘキソゾームの^<31>P-NM測定から粒子内部の水チャネルが外水相と連続していること、また時間分解蛍光測定から脂質分子の特徴的な分子運動を明らかにした。特に2分子膜からキュビック構造転移領域で界面に強い曲げストレスが生じることが明らかにされた。 血漿中のアルブミンなどの蛋白質によりキュボソームを構成するモノアシルグリセライドは速やかに引き抜かれ、崩壊・レムナント化するが、ヘキソゾームは安定であることが明らかになった。血漿中でキュボソームを構成するモノアシルグリセライドは速やかにリポリシスされる。これらの結果と動物血中の粒子の挙動の関係を継続して調査している。 また、これらの成果の一部は国際界面活性剤会議(2002年6月、スペイン)にて公表した。
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