研究概要 |
マウス胚性線維芽細胞を分化誘導剤添加下で初代培養し脂肪細胞に分化させたところ、FGF-10は分化初期にその発現が一過性に亢進し、その後分化が進むにつれて減少した。同様の培養系でホモ変異型14.5日胚から得た胚性線維芽細胞を脂肪細胞に分化誘導したところ、野生型に比べ脂肪滴の蓄積、脂肪分化マーカーの発現ともに減少しており、脂肪組織の形成不全が代謝系など他の異常の二次的なものでないことが確認された。また生体での脂肪組織形成過程においても解析を行った。マウス16.5日胚の肩部脂肪組織予定領域には脂肪滴をほとんど持たない前駆脂肪細胞が見られ、その後18.5日胚においては多量の脂肪滴を持つ成熟脂肪細胞が観察された。FGF-10は14.5日齢では既に同領域での発現が見られたが、転写因子群の発現はFGF-10より遅れて始まった。 骨形成過程において初期から後期まで一貫してFGF-18mRNAが長管骨の軟骨膜に発現していることを明らかにした。さらに、長管骨でのFGF-18とFGFR-2c,-3c mRNAとの発現領域を比較した。その結果、長管骨形成初期にはFGFR-2cは未分化軟骨細胞や未分化骨芽細胞に、FGFR-3cは軟骨細胞に発現が見られ、また長管骨形成中期から後期にかけてはFGFR-2cは軟骨膜と骨幹部の骨芽細胞に、FGFR-3cは増殖軟骨細胞層から前肥大化軟骨細胞層に発現が見られることが明らかとなった。さらに、mouse E15.5の脛骨を用いて器官培養を行いFGF-18の長管骨成長に対する影響を検討したところ、FGF-18の添加により軟骨細胞領域が短縮していることが明らかとなった。
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