研究概要 |
FGF(Fibroblast Growth Factor)は線維芽細胞を初めとする様々な細胞に活性を示す増殖因子であり、現在23種類のメンバーから成るファミリーを形成することが知られている。そのうち、FGF-10は成体ラットにおいて脂肪組織に高発現しており、また初代培養前駆脂肪細胞に対し増殖活性を持つことが明らかになっていた。我々が作成したFGF-10遺伝子欠損マウスは、四肢と肺の形成不全を示し生後すぐに死亡したが、更に脂肪組織の形成不全が認められた。 頭蓋縫合早期癒合症であるPfeiffer症候群・Crouzon症候群や四肢の短縮が起こる軟骨無形成症、軟骨低形成症などの遺伝性骨形成疾患の原因がFGFR(FGF receptor)遺伝子の構成的活性化型変異であることが明らかになり、FGFシグナルの骨・軟骨形成における役割が注目されている。 FGF-18は特に予定骨領域における間葉系細胞凝集領域に高発現していた。長管骨の骨形成過程は内軟骨性骨化と呼ばれ、間葉系細胞が凝集し、軟骨細胞に分化し、その後の軟骨細胞死に続き血管侵入にともなう骨膜組織からの骨芽細胞の侵入・沈着、骨基質分泌という過程を経て骨化する。間葉系細胞凝集領域には未分化な軟骨細胞や骨芽細胞が存在している。また予定骨領域での発現が報告されている三種類のFGF receptor(FGFR-1c,-2c,-3c)のうちFGFR-2cおよび-3cに対してFGF-18が高い親和性を示すことも明らかにしていた。一方で、FGF-18ノックアウト(KO)マウスでは長管骨の短縮などの骨・軟骨形成異常が見られ、FGF-18が長管骨形成に必須であることが示された。
|