研究課題/領域番号 |
12470497
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学研究科, 教授 (50025706)
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研究分担者 |
岡 昌吾 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (60233300)
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キーワード | HNK-1糖鎖抗原 / グルクロン酸転移酵素 / 細胞接着分子 / 遺伝子欠損マウス / 細胞凝集 / 免疫組織染色 |
研究概要 |
HNK-1糖鎖抗原は、硫酸化グルクロン酸がN-アセチルラクトサミンに結合した非常に珍しい構造である。本糖鎖抗原は神経系発達に伴い、厳密な発現調節を受けている。我々は現在までにHNK-1糖鎖抗原の生合成機構について解析を行い、HNK-1糖鎖の生合成の調節酵素であるグルクロン酸転移酵素(G1cAT-PおよびG1cAT-S)および硫酸基転移酵素(Sulfo-T)遺伝子のクローニングに世界に先駆け成功している。本年度の研究では、得られた酵素遺伝子を用いることにより以下の知見を得た。 (1)HNK-1糖鎖シグナルの伝達機構の解明 デキサメサゾンの添加により、G1cAT-P遺伝子の発現が誘導されるC6グリオマ細胞株を樹立している。本細胞を用いて、HNK-1糖鎖の突起伸長における役割を解析した結果、HNK-1糖鎖はC6グリオーマ細胞表面に存在する細胞接着分子NCAMやL1に特徴的に発現しており、特にL1分子上に発現したHNK-1糖鎖が細胞の突起伸長に重要であることが明らかとなった。 (2)G1cAT-P遺伝子欠損マウスを用いたHNK-1糖鎖機能の解析 我々はすでに、G1cAT-P遺伝子欠損マウスの作成に成功している。そこで本マウスの脳抽出物をウェスタンブロットにより解析したところ、G1cAT-P遺伝子欠損マウスではHNK-1エピトープほぼ完全に消失していた。この結果は脳組織におけるHNK-1エピトープのほとんどすべてがG1cAT-Pにより合成されることを示している。またHNK-1抗体を用いた免疫組織化学的な解析の結果、大部分のHNK-1糖鎖抗原の発現は消失しているものの、幾つかの脳の領域においてHNK-1糖鎖抗原発現が残存していることが明らかとなった。この残存するHNK-1糖鎖を詳細に解析した結果、古くから知られているperineuronal net構造に対応することが明らかとなった。
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