アデノシン受容体(またはfMLP受容体)を発現させたCHO細胞を作成し、Aktの活性を指標として細胞内のPI 3-kinaseの活性化状態の評価を行ない、下記のような結果をえた。 (1)アデノシン受容体などの刺激はAktの活性化を導く (2)この活性化がインスリン受容体刺激により亢進する (3)アデノシンの効果は百日咳毒素処理やβARK-CTペプチドの発現によって抑制されることから、Giから解離したGβγを必要とする (4)アデノシンの効果はPI 3-kinaseのp85サブユニットの発現によっても抑制されることからチロシンキナーゼからのシグナルが関与している (5)アデノシンの効果はp110βの発現によって顕著に増強される (6)アデノシンの効果はp110βの不活性型変異体によって抑制される (7)p110αの変異体は抑制作用をもたない (8)アデノシンの効果はいくつかのチロシンキナーゼ阻害薬によって阻害されるが、Src familyに特異的な阻害薬であるPP2の影響を受けない (9)PP2はアデノシンなどによるErkの活性化を強く阻害する 以上の結果は、Gタンパク質からのシグナルはGβγとp110βを介してAktに伝達されており、その経路にはSrc familyとは異なるチロシンキナーゼが関与していることを示すものである。
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