研究課題/領域番号 |
12470505
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉浦 幸雄 京都大学, 化学研究所, 教授 (40025698)
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研究分担者 |
永岡 真 京都大学, 化学研究所, 助手 (60314275)
二木 史朗 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50199402)
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キーワード | 転写因子 / 亜鉛フィンガー / アーキテクチャー / DNA結合 / DNA湾曲 / マルチフィンガー / 遺伝子制御 / 動力学 |
研究概要 |
DNAの情報をRNAに伝えるいわゆる転写は、生体反応において重要な位置を占めている。転写には、DNA結合タンパク質のDNA特定塩基配列への結合やそれに伴うDNA構造変化、中でも湾曲が大きく関与している。それ故、特定の塩基配列に結合し、DNA湾曲を誘発する人工分子は、新しい転写機能制御因子として期待される。代表的なDNA結合モチーフの1つである亜鉛フィンガーを複数個連結させることにより、長い塩基配列を認識することが可能である。転写因子Sp1の三つの亜鉛フィンガードメインを基にアルギニンやグルタミン酸など電荷の異なったアミノ酸残基で連結した新規6-亜鉛フィンガー型タンパク質を設計・創製した。その結果、アルギニンおよびグルタミン酸で連結させた6-亜鉛フインガータンパク質は同じようにDNAを湾曲化させたが、DNA結合の動力学では、両タンパク質で大きく相違していた。また、sp1の3フィンガーを1単位として、それらを2個あるいは3個直列に連結した6-亜鉛フィンガーあるいは9-亜鉛フィンガータンパク質を設計する上で、リンカー配列を天然によく保存されているTGEKP配列から一部TFIIIA様配列に改変した。その結果、新たにリンカー配列を改変したタンパク質では、天然型リンカー配列をもつ亜鉛フィンガータンパク質とは大きく異なるDNA結合様式を与え、DNA結合において、すべての亜鉛フィンガーを使用していないことが明らかになった。このDNA湾曲の誘起やDNA結合の性質の違いは、遺伝子機能の制御に新しい概念と手段を与えるものであり、近い将来、人工遺伝子制御分子、特に、人工転写因子としての開発が期待される。
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