昨年度、ICR系妊娠マウスを用いディーゼル排気の生殖系への影響と内分泌かく乱作用に関する研究で、ディーゼル排気の胎仔期暴露により、雄性胎仔性分化関連因子である、ミュラー管阻害因子(MIS)、およびステロイド合成酵素制御因子(SF-1)mRNA発現量が減少すること、また、系統差が存在し、ICR系マウスが影響を生じやすいことを見いだした。今年度はICR系マウスの系で胎仔期にDE暴露を受けた出生仔雄性マウスの生殖系への影響を検討した。 妊娠マウスを暴露群3群(DE中の微粒子(DEP)濃度として、0.3、1.0、3.0mg/m^3)と対照群にわけ、暴露群には妊娠2日目から16日目までDEを暴露した。その後実験に用いるまでの間は清浄空気中で飼育した。出生仔が3週齢に達した時点で離乳し、4週齢時点で影響を評価した。 胎仔期DE暴露により精巣重量、前立腺重量、凝固腺重量、精嚢重量が対照群と比較し有意に増加した。また副生殖腺(前立腺、凝固腺、精嚢)の発達に関与するテストステロンの血中濃度が1.0mg/m^3暴露群では対照群と比較し有意に増加した。なお低濃度(0.3、mg/m^3)群でも増加傾向が認められた。 これらのことから、胎仔期DE暴露は出生仔のテストステロン濃度への影響を介し、何らかの内分泌かく乱作用を示す可能性が示唆された。
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