研究概要 |
香川県下で、介護保険制度施行前に当たる1999年と、施行後に当たる2000及び2001年の2、5、8、11月の国民健康保険診療報酬明細書(国保レセプト)1,195,670、1,268,687、1,311,100件について、それぞれ新病類119分類コードの内、19分類名称中の新生物、精神及び行動の傷害、循環器系の疾患、妊娠、分娩及び産じょく、周産期に発生した病態、先天奇形、変形及び染色体異常、119分類名称中の46疾病に関して入院、外来の患者住所地別(43市町)、受療地別(43市町および県外4)、性別、年齢階層別(0〜4歳、5〜14歳、15〜39歳、40〜64歳、65歳以上、全年齢階層合計)に所定の式により受療件数を算出し、上記の4ヵ月の合計件数から1月平均数を求めて、この年の平均的な受療件数とした。それらの件数と所定の式により上記疾病について、市町別医療需給状況分析のための4指標((1)自域依存率(自足率)[%]、(2)自域患者率[%]、(3)依存度エントロピー、(4)診療圏エントロピーを求めた。 以上の4指標について、疾病別の比較、特定機能病院周辺地域での状況、特定機能病院の状況、15年間の変化などについて分析を行った。対象疾病は、これまでの3大疾病(悪性新生物、脳血管疾患、虚血性心疾患)の分析に併せて、46疾病について行った。 また、介護保険制度施行を鑑み、65歳以上の対象者に特定した分析を加え、施行前後での比較検討を加えた。以上に挙げた3年間の研究成果を踏まえながら、対象とする特定機能病院と所在地およびその周辺地域について受療内容や医療受給に関する分析を疾病別に行った結果、現状分析としては、特定機能病院の発足当初から比較すると地域の医療需給状況は大きく変わり、悪性腫瘍、虚血性心疾患など、高次医療機能を有する治療については特にその需要が高く、広範囲に拡大していることが判明した。しかし、その拡大傾向はここ数年、大きく延びておらず。また、介護保険制度施行前後では大きな変化のある疾患は少なかった。限界分析としては、これまでの運営方法だけでは香川県の医療需給状況を大きく変革し、特定機能病院の特徴を十分に発揮することは期待できないことが推測された。
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