研究概要 |
何らかの疾患や臨床症状と関連した染色体均衡型構造異常(disease-associated balanced Chromosome rearrangements : DBCRs)症例を精力的に収集した結果,ポジショナルクローニングに極めて有用と考えられる2症例を発見し,各症例の染色体構造異常の切断点の解析に着手した. 第1例日は二次性徴の早期発来・小児期の身長促進と低い最終身長を呈した女性である.内分泌学的には特徴的な性ホルモン・性腺刺激ホルモンの動態を認め臨床的に典型的な思春期早発症であり,de novoの7番染色体長腕と10番染色体短腕の均衡転座を有していた.第2例日は肥満と早期発症の糖尿病を有する家系例であり,この家系の患者では3番染色体短腕と9番染色体長腕との均衡転座を有していた. 両例とも患者細胞株から作成した染色体標本を用い,切断点近傍に座位するBACクローンでFISH解析を行い,転座点に座位するBACクローンをつきとめた.来年度は,このBACクローンを用いて,転座点に座位するCosmidクローンを得て,転座点に存在する思春期早発症および肥満・糖尿病に関係する候補遺伝子を同定する予定である.さらに候補遺伝子が単離された場合には,染色体レベルでは変化の認められない,思春期早発症および肥満・糖尿病患者において,候補遺伝子の変異スクリーニングを行うことにしている.
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