研究課題/領域番号 |
12470522
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
寺崎 哲也 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (60155463)
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研究分担者 |
細谷 健一 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (70301033)
高長 ひとみ 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (20284523)
大槻 純男 東北大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (60323036)
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キーワード | 血液脳関門 / 細胞膜輸送 / 神経伝達物質 / 輸送担体 / 遺伝子クローニング / 中枢解毒 / 条件的不死化細胞 / 脳毛細血管内皮細胞 |
研究概要 |
これまで血液脳関門は、脳内神経伝達物質を脳内に保持するという生理的役割を果たしていると信じられてきた。本年度は、神経伝達物質として、酸性アミノ酸、γ-アミノブチル酸(GABA)、デヒドロエピアンドロステロン硫酸抱合体(DHEAS)、エストロン硫酸抱合体(E_1S)を基質とする輸送担体の遺伝子クローニングを中心に解析した。酸性アミノ酸の輸送系について、条件的不死化マウス脳毛細血管内皮細胞株を用い、その機能解析を行ったところ、in vivoと同様に立体選択的な基質認識性が見られた。現在、その輸送担体の遺伝子配列を解析中である。一方、GABAについては、GAT2/BGT1が、その実体であることが明らかになった。条件的不死化マウス脳毛細血管内皮細胞株には、GAT1,GAT3,GAT4のmRNAは検出されず、GAT2のみであった。さらに、この細胞株に対するGABAの取り込み活性を評価したところ、GAT2の輸送特性を反映していることか示された。抗GAT2抗体を用いた免疫染色で、脳毛細血管内皮細胞膜が染色された。また、western bloting法でも脳毛細血管内皮細胞にGAT2が発現していることが示唆された。現在、これらの結果について、投稿準備中である。さらに、脳内ステロイドホルモンの硫酸抱合体であるDHEASとE_1Sについて、血液脳関門輸送特性を解析したところ、oatp2が脳から血液方向への排出輸送系として働いていることが示された。この結果は、論文発表した。このように、これまでの通説を覆す、血液脳関門の新しい機能が、遺伝子レベルで解明されつつある。
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