研究概要 |
我々はCYP2D6^*10が日本人において抗うつ薬venlafaxineの血中濃度推移を説明する上で重要であることを見出した。日本人においてもCYP2D6の基質薬物についてCYP2D6の遺伝子多型より個人にあった適正用量を検討することが重要であると考え、本研究を計画した。 CYP2D6で代謝されるメキシレチンについてCYP2D6の野生型とCYP2D6^*10/^*10群の代謝を比較した。さらに、代謝の低下した被験者からCYP2D6^*36をタンデムに有する遺伝子型を発見した。この遺伝子型の頻度は3%であった。CYP2D6.1,CYP2D6.10,CYP2D6.36の発現系を構築し基質薬物としてbufurarolとvenlafaxineについて検討した。その結果CYP2D6^*10、CYP2D6^*36を有するヒトの代謝クリアランスの低下が酵素の低発現とKmの上昇によることが示された。さらに各種のβブロッカーのbufuralolに対する阻害の検討では阻害はすべて競合阻害であり、Ki値はCYP2D.36>>CYP2D6.10>CYP2D6.1であった。多剤併用時の相互作用の影響はCYP2D6^*10、CYP2D6^*36の人ではCYP2D6野生型の人より少ないことが示唆された。日本人において、PMになる重要な遺伝子型であるCYP2D6^*5のアレル頻度は4.5%であった。従来から使用されているlong-PCR法によるCYP2D6^*5の判定では、CYP2D6^*5でない場合でも遺伝子構造によってはCYP2D6^*5と誤判定される場合があることを見出した。遺伝子解析の結果、新規の遺伝子構造を見出した。
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