研究分担者 |
礒濱 洋一郎 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (10240920)
甲斐 広文 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (30194658)
徳冨 直史 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (30227582)
福永 浩司 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (90136721)
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研究概要 |
慢性閉塞性呼吸器疾患(COPD)の特効薬の開発のためには,最先端の科学技術を用いて呼吸器の生理およびCOPDの病態生理を解明し,新しい基礎的知見を蓄積していくことが必須である.このような目的のもと,我々は3年間にわたる本研究費により以下に記すような成果を上げた. 1.ETS転写因子である,myeloid Elf-1 like factor(MEF)は気道上皮細胞の分化および癌化の制御因子として重要な役割を果たしていることを突き止めた.特にMEFを高発現させた肺腺癌細胞株では,著明な増殖抑制を生じ,癌抑制遺伝子としての重要性を示唆するに至った. 2.他のETS転写因子の中でETS-2は癌化促進作用をもち,機能的にMEFと拮抗関係にあることを見出した.また,癌化によって著明に発現の亢進するサイトカインGM-CSFのprotein kinase Cがによる発現亢進にETS-2が関与することを明らかにした. 3.気道粘液の産生細胞である杯細胞の分化制御薬としてフドステインを見出し,上市するに至った.また,生薬甘草の主成分であるグリチルリチンが,グルココルチコイドの転写調節作用を亢進することによって気道粘液のmRNA発現を著明に抑制することを漢方薬の薬効薬理学的研究を通じて発見した.気道粘液産生制御剤という新規の作用機序をもつ呼吸器疾患治療医薬の開発に繋がる可能性が考えられ特許出願(2003-025212)に至った. 4.肺胞II型上皮細胞からの肺サーファクタント分泌に対してadrenomedullinおよびprostaglandin E_2が内因性の促進物質として働く可能性を示唆した.また,II型細胞内のシグナル伝達系にはクロストークが存在し,protein kinase AおよびCを同時に活性化すると細胞外からのCa^<2+>の流入を介して,相乗的に分泌が促進されることを見出した.
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