研究分担者 |
小原 一男 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (60117611)
石川 智久 静岡県立大学, 薬学部, 助教授 (10201914)
浅野 敏雄 旭化成(株), ライフサイエンス総合研究所, 所長
田辺 由幸 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (10275109)
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研究概要 |
血行力学刺激の受容応答(メカノトランスダクション)に関わる分子間相互作用をsrcチロシンキナーゼ,RhoキナーゼおよびプロテインキナーゼCδに着目して研究し,下の結果を得た. 1.力学感受性入力分子(メカノセンサー)の薬理特性 (1)ガドリニウム感受性伸展活性化(SA)チャネル経路:(1)イヌ脳動脈の伸展刺激による筋原性収縮収縮に際して,SAチャネルの活性化によるカチオン流入と脱分極,さらにL型Ca^<2+>チャネル(VOCC)を介する[Ca^<2+>]_iの増加と20kdミオシン軽鎖(20kdMLC)リン酸化の亢進により筋収縮力が発生する.(2)膵β細胞における血糖グルコース刺激によるインスリン分泌亢進に際して,細胞容量の増大によるSAチャネルを介する脱分極の亢進と,VOCCの活性化による[Ca^<2+>]_i増大をもたらす経路が関与する. (2)RGD-ペプチド感受性インテグリン経路:(1)イヌ脳底動脈における伸展刺激による遅延性20kdMLC多重リン酸化にはsrcチロシンキナーゼ,RhoキナーゼおよびプロテインキナーゼCδが関わる.(2)ウサギ肺動脈内皮細胞に於いて,伸展刺激誘発アラキドン酸代謝にはRGD-ペプチド感受性経路を介するプロスタグランジン(PG)F_<2α>産生とRGD-ペプチド非感受性の非転換型PGH_2産生がある.このPGH_2が伸展刺激誘発内皮依存性収縮のメディエーターとなる. (3)L型Ca^<2+>チャネル(VOCC)の機械刺激感受性:ウサギ脳底動脈単離平滑筋細胞において低浸透圧や流れ刺激でVOCCが直接に活性化や不活性化を受ける可能性がある. 2.メカノトランスダクションの時間薬理学:ラット中大脳動脈の圧誘発性筋原収縮においては,Rhoキナーゼは収縮初期から活性化される.一方,プロテインキナーゼCは徐々に活性化され,筋原収縮に関与する. 以上の成果を専門学術国際誌および国内外の学会において発表しつつある.
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