研究概要 |
cDNAマイクロアレイを用いて筋疾患原因遺伝子におけるSNPs(単塩基多型)を簡便に検索・同定する方法を確立するため、今年度は基盤となる高精度cDNAを用いた大規模マイクロアレイの作製を行った。まず、NCBI等の既知データベースより骨格筋・心筋に発現する既知のcDNA情報を収集し、重ねあわせる事によって筋発現遺伝子のデータベースを構築した。塩基配列情報を収集して統合後、繰り返し配列や相同配列等を排除してより特異性の高い遺伝子情報とした。それぞれのシングルトン(バーチャルcDNA)に対してPCRプライマーを設計して情報を蓄積した。現在までに7,000組以上のプライマー情報が蓄積された。この情報を基にプライマーを合成し、ヒト骨格筋・心筋のcDNAライブラリーを鋳型としてKOD+DNAボリメラーゼを用いたホットスタートPCRを行い、効率よく忠実度の高いcDNA断片を得る方法を確立した。それぞれの遺伝子に対する増幅断片をクローン化し、塩基配列を確認してデータベース情報と比較し、シークエンスが98%以上一致したクローンのみを蓄積した。方法をシステム化して大規模なクローン収集を行い、すでに約2000種の筋細胞関連の既知および未知遺伝子をストックした。ストックした1536クローンを鋳型にプローブとなる遺伝子断片を増幅し、精製と濃度調整後にボリLリジンコートしたスライドグラスにスポットし、マイクロアレイを作製した。作製したcDNAマイクロアレイは遺伝子情報の忠実度が高く、また相同遺伝子のハイブリダイズの可能性が低い、高精度のマイクロアレイであった。SNPs検出のため、変異部位への直接蛍光標識を試みたが、遺伝子断片の両末端が標識されるため、バックグラウンドが高くなり困難であることが判った。今後、ミスアニール部位結合タンパク質による検出法を検討する必要がある。
|