研究課題/領域番号 |
12470533
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
水谷 都 新潟大学, 医学部, 講師 (20115075)
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研究分担者 |
原 利昭 新潟大学, 医学部, 教授 (50134953)
成澤 幸子 新潟大学, 医学部, 助手 (90172585)
倉島 幸子 新潟大学, 医学部, 助手 (30161730)
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キーワード | 車椅子移送 / 感覚感性 / 生体力学 / 視野・視線解析 / 看護技術 |
研究概要 |
本年度は、坂路移送における降坂方法の検討および平坦路における移送速度に関する実験を行い、患者が安心できる移送方法検討の基礎的知見とした。 1)坂路移送における降坂方法の検討:(1)昨年度実験に用いた傾斜1°22´と3°10´の坂路はN病院の渡り廊下で、後者には「傾斜がきついため車椅子の通行は危険」の看板が立てられている。解析の結果、車椅子挙動および官能検査より「前向き移送」が安定しており、車椅子実測度を官能検査総合点を低・中・高の3群に分類し求めると、傾斜1°22´の坂では1.20±0.18m/s、傾斜3°10´の坂では1.21±0.15m/sであり、乗車者に負担の少ない降坂方法との示唆を得た。(2)降坂移送における車椅子挙動と移送者の歩行形態:被験者(移送者)は看護師5名。移送路は平坦路、傾斜3°と11°の直線路。普通型車椅子を使用し、任意速度で前向き移送と後向き移送を実施。車椅子挙動はジャイロセンサで測定。移送速度、移送者の歩行形態等はマーカーをつけて側方よりビデオカメラ撮影。解析の結果、急勾配の坂路では「後向き移送」において車椅子振動が少なく、下肢全体で車椅子の重さを支える姿勢、一足部の歩行時衝撃の吸収によるものと考えられる。 2)車椅子乗車者が安心と感じた時の移送速度と眼球運動特性:被験者は看護学生12名。移送者は看護教員。幅3.8mの直線路、測定区間は10m。普通型車椅子を使用。移送速度は任意の速い・普通・遅いの3段階を考慮。車椅子実速度は2台のビデオカメラで測定。乗車者の平衡検査はRomberg's Sign、眼球運動はアイカメラ、感覚は官能検査で測定。解析の結果、移送者の普通とする移送速度1.22±0.10m/sに対し、乗車者が最も良いとする移送の速度は1.12±0.12m/sであった。さらに眼球角速度(縦方向)および官能検査総合点には速度依存が認められ、移送速度が速い場合には心身の負担が大きいと推測される。したがって今回得られた1.12±0.12m/sは乗車者に負担の少ないつまり安心な移送速度であると考えられる。 以上は日本機械学会および日本看護科学学会等において発表した。
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