研究課題/領域番号 |
12470536
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
渡辺 文子 岡山県立大学, 保健福祉学部・看護学科, 教授 (60141230)
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研究分担者 |
神宝 貴子 岡山県立大学, 保健福祉学部・看護学科, 助手 (40305777)
北園 明江 岡山県立大学, 保健福祉学部・看護学科, 助手 (10316127)
小田 真由美 岡山県立大学, 保健福祉学部・看護学科, 助手 (30293294)
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キーワード | 痴呆性高齢者 / グループホーム / 行動特性 |
研究概要 |
平成11年度に、グループホーム(以下GH)ケアが痴呆性高齢者に対するケア形態としてどのような効果があるかを明らかにするための基礎資料を得ることを目的に、痴呆性高齢者の行動特性を参加観察法により研究した結果、行動特性を6カテゴリー抽出した。平成12年度は、同GHにおいて1年後の行動特性の変化を同様の参加観察法により行った。その結果、痴呆症が進行性疾患であるにも関わらず行動特性に大きな変化はなく、心身機能を維持していることがわかった。また、GHケアの特徴を明らかにするために、対照群として大集団ケアの場である介護老人保健施設(以下老健)においても同様に、参加観察法により痴呆性高齢者の行動特性を明らかにし、その結果をGHと比較検討した。GHでは【仲間との交流】や【スタッフとの交流】が老健よりも多く、老健では【その人らしい日常生活行動】や【単独行動】の個人行動が多かった。GHは痴呆性高齢者に対するケア形態として、痴呆症に伴う認知障害による不安や混乱を補い、他者とのなじみの関係を形成しやすく、自分らしさを保ちながら生活する場として有効であることが明らかになった。平成13年度は、引き続き行動特性の参加観察を行った。その結果、3年目の行動特性は前年までのものと比較し、痴呆症状の進行とそれに伴う身体機能の低下が大きな特徴としてみられた。また、前年度までの行動特性は、主に屋内で座って過ごす行動が多く、多くの女性の下肢に浮腫がみられたことから、活動性の低下や下肢の筋力低下が危惧されたため、ADLの維持・向上を目的としたアクティビティーを計画・実施した。アクティビティーの効果としては、利用者の運動への参加意欲は高く、積極的に上・下肢を動かし持久力もあった。このことから、痴呆はあっても潜在的な運動能力があることが明確化された。今後は、痴呆症状の進行を予防するために、医療専門職(医師、看護職、理学・作業療法士など)による日常生活に対するケア介入や活動性の低下を予防するためのアクテイビティーの実施などの必要性が示唆された。
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