研究概要 |
本研究では,申請者らが提案した老化尺度のひとつである活力年齢を用い,10年間にわたる長期縦断データから,運動を習慣化した中高齢者の老化が遅延する,という仮説を検証することを第一の目的とした。対象者は46〜68歳の女性16名と43〜69歳の男性10名であり,週2回の院内監視型運動教室への参加者である。教室開始前の活力年齢は,男女ともに暦年齢よりも有意に高かったが,教室開始から3ヵ月後,1年後で有意に若齢化し,暦年齢よりも有意に低くなった。その後の9年間で,女性の活力年齢は7.6歳(男性では8.6歳)しか増加せず,運動の習慣化が老化速度を遅延するという仮説が支持された。 本研究における第二の目的は,活力年齢をベースとしながらも,加齢とともに罹患率の高まる骨粗鬆症に関する情報を含めながら,より高い年齢層のデータを収集し,高齢者の老化度を評価する新しい活力年齢を提案することであった。対象者は,32〜77歳の女性134名と35〜79歳の男性91名である。形態,血圧,肺機能,血液生化学的分析項目,体力指標など56項目の測定結果から,相関分析,主成分分析により,老化度を反映する以下の式を作成した。 (女性用) New VS=0.021X1+0.010X2-0.044X3-0.008X4+0.004X5+0.004X6+0.003X7+0.043X8-0.039X9-0.011X10-0.419X11-0.007X12+9.64 New VA=8.98new VS+0.295CA+40.75 (男性用) New VS=0.011X2-0.044X3-0.013X4-0.005X5+0.004X7-0.032X9-0.012X10-0.400X11-0.007X12+0.023X13+14.28 New VA=-8.58new VS+0.367CA+40.00 X1=腹囲(へそ),cm ; X2=収縮期血圧,mmHg ; X3=VO2LT, ml/kg/min ; X4=HRLT, beat/min ; X5=総コレステロール,mg/dl ; X6=LDLC, mg/dl ; X7=中性脂肪,mg/dl ; X8=ヘマトクリット,% ; X9=反復横とび,n/20s ; X10=閉眼片足立ち,s ; X11=FEV1.0,1;X12=SOS, m/s, X13=肩甲骨下部皮脂厚,mm
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