研究課題/領域番号 |
12480009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮村 実晴 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (40019576)
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研究分担者 |
安田 好文 豊橋技術科学大学, 体育保健センター, 教授 (70126952)
森 滋夫 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (00023656)
石田 浩司 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教授 (50193321)
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キーワード | 間欠的低酸素暴露 / 低圧室 / 最大酸素摂取量 / 低酸素換気応答 / 高炭酸ガス換気応答 / 男子大学生 |
研究概要 |
平成13年度では、先の平成12年度において得られた研究結果を踏まえて間欠的低酸素暴露により呼吸の化学感受性および最大酸素摂取量がどのような変化をするかについて明らかにしようとした。すなわち、健康な成人男子を対象に高度4,500mに相当する低圧室に1日1回、1回約2時間、7日間入室させた。この間欠的低酸素暴露前後において各被験者の最大酸素摂取量、低酸素および高炭酸ガスに対する換気応答を測定した。全身持久性能力(狭義の体力)の指標である最大酸素摂取量(VO2max)は自転車エルゴメータを用い被験者を疲労困憊まで運動を行わせた。運動中の呼気ガスはダグラスバッグに採集し、呼気量は湿式ガスメータ、呼気中の酸素および炭酸ガス濃度はガス分析器により測定し酸素摂取量を求めた。一方、安静時における低酸素に対する換気応答(Hypoxic Ventilatory Response : HVR)は閉鎖性回路により再呼吸を行わせ、換気量(VE)はガス流量計、動脈血酸素飽和度(SaO2)はフィナプレスを用いて測定し、VE/SaO2の比率から求めた。高炭酸ガスに対する換気応答(Hypercapnic Ventilatory Response : HVCR)はReadの再呼吸法を用いて測定した。すなわち、約6%CO2+94%O2の混合ガスを4分間再呼吸させ、換気量(VE)と呼気中の炭酸ガス濃度(PETCO2)を測定し、VE/PETCO2の比率から求めた。 その結果、間欠的低酸素暴露により最大酸素摂取量は有意な変化を示さなかった。また高炭酸ガスに対する呼吸の化学感受性の指標であるHCVRは暴露前後で変化は認められなかった。しかしながら、低酸素に対する呼吸の化学感受性の指標であるHVRは暴露後において有意に増大した。で これまで高所滞在あるいは慢性的低酸素暴露によって低酸素および高炭酸ガス換気応答からみた呼吸の化学感受性は増大することが報告されているが、本研究結果から慢性的のみならず間欠的低酸素暴露によって呼吸、特に低酸素に対する呼吸の化学感受性が増大することが明らかになった。本研究の結果は、高炭酸ガスより低酸素に対する呼吸の化学感受性の方が変化しやすいことを示唆するものである。
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