研究課題/領域番号 |
12480012
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
玉木 哲朗 東海大学, 医学部, 講師 (10217177)
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研究分担者 |
内山 秀一 東海大学, 体育学部, 助教授 (80256164)
吉村 眞一 東海大学, 医学部, 講師 (30230808)
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キーワード | Anabolic steroid / 中枢神経系 / 視床下部 / ノルアドレナリン / セロトニン / c-fos |
研究概要 |
蛋白同化ステロイド投与による最も特徴的な副作用として「攻撃性の増加」が数多く報告されている。本年度は、昨年度の成果の一つでもある「蛋白同化ステロイド投与による総運動量の増加と筋持久力を向上させる効果」と、同様に「蛋白同化ステロイド投与と攻撃的行動」の関連を明らかにする目的で、「蛋白同化ステロイド投与と中枢神経系、特に攻撃的行動と最も関係が深いとされる視床下部と随意運動と関係の深い大脳皮質、さらに小脳に注目した。ラットにデカン酸ナンドロロン及びその偽薬を投与し、高速液体クロマトグラフでノルアドレナリン及びセロトニン代謝を測定した。その結果、ステロイド投与により1)視床下部のノルアドレナリン及びその代謝産物であるMHPG(4-hydroxy3-methoxyphenylglycol)レベルが各々2倍、7倍に増加していた。これは全身的な交感神経亢進状態を表しているものと考えられた。2)同じく、視床下部のセロトニン及びその代謝産物である5-HIAA(5-hydroxy-indole-3-acetic acid)も各々〜40%,〜50%と増加していた。これはステロイド投与により亢進した交感神経有意な状態を代償する作用を表しているものと示唆された。3)さらに、抗c-fos抗体を用いた免疫組織化学によりステロイド投与群の視床下部ニューロンの活性化が認められ、上述の結果を裏付けるものであった。以上の結果から、蛋白同化ステロイドは中枢神経系、特に視床下部ニューロンに影響を及ぼし全身的な交感神経亢進状態を引き起こし、攻撃性の増加させ、これが運動ストレスに対する精神的抵抗力につながり、運動量を増加させるものと考えられた。また、交感神経亢進状態は心臓の活動を亢進すると同時に骨格筋における血流量も増加させることから、筋持久力の向上につながるものと考えられた。これらの研究成果は、現在国際雑誌に投稿中である。
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