信州大学理学部屋上および松本市周辺地域において、降水採取を実施し、その化学分析を行った。気象条件によって降水中の化学物質濃度は大きく変動し、さらに空間分布パターンにも変化が認められた。また、春先には黄砂の影響と思われるカルシウムイオンと硫酸イオンの沈着量の増大が観測された。 中部山岳地域を中心とする高山域において積雪を採取し化学分析を行った。その結果、採取地点の位置によって化学物質濃度は変動し、さらに標高によっても化学物質濃度の値が異なることなどが明らかとなった。今冬季は降雪量も多く、試料採取を継続して実施している。 中央アルプス・駒ヶ岳山塊の小流域に実験流域を設定し、本年度も継続して調査を実施した。融雪時や降雨による流量の増大時には主要な溶存成分濃度は減少するが、硝酸イオンのみは、流量の増加に従い一時的に濃度が大きくなることが明らかとなった。これからの融雪期には、集中的な観測を実施する予定である。
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