研究概要 |
人間の色彩感覚の数量的解析,特に,基本的な色彩感覚を表現する感性語(カラーイメージ語)の収集とその言葉によって表現される印象や感情について,視感評価実験を通して比較・検討を行った. 具体的には,以下の内容を行った. 1.感性語(カラーイメージ語)の選定 各実験国で価値観のともなわない基本的な感性語の対語12種を選定した. 2.色サンプルと色の測定 色空間全域にわたる218色を用意した.色の光学測定も同時に行った. 3.視感評価実験 標準光源下(D65)で視感評価を行った.被験者は各国50人程度. これまでに,日本,香港,タイ,イギリスの結果が得られた. 4.データ解析 視感評価結果を比較し,カラーイメージ間の関係などについて解析・考察した. なお,研究の遂行にあたっては,異種文化圏間での色彩感覚の差異について検討するために,いくつかの言語を用い,その言語にネイティブな被験者によって視感評価実験を行う必要があることや,また,これまでに行っている研究の進行状況が各国の研究機関で異なるため,海外と日本の研究グループとの間で実験に対する共通認識を持つことを目的として,海外共同研究者を招聘したり,逆に日本人の研究者が訪問して研究遂行の共通認識を作った.それに基づき,海外と日本の研究グループでの視感評価実験は,すべて同じ色サンプルを用い,なるべく同じ条件下になるように研究を進めた.また,色彩感覚についての研究と平行して,カラーネーミング(色名)についても日本の研究グループ独自に視感評価実験を行った.
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