研究概要 |
補整下着用の3次元設計システムを開発するためには,人体の各種属性を再現したコンピュータによる設計支援システムによる理論の構築が必要である。そこで今年度はブラジャー着用時の衣服圧と3次元計測による着用前後の形状についての生体情報を把握し,人体形状モデリングを用いた着装シミュレーション手法を開発して変形の規則性を導入する試みを行い以下の結果を得た. 1.ブラジャー着用時の衣服圧:整容性の強い1/2カップから3/4カップ,フルカップ,活動的なスポーツブラなど目的別に種々のタイプのブラジャー10種を着用した時の乳房にかかる衣服圧を測定した.ブラジャーの目的によって乳房にかかる力がコントロールされており,整容性の強いものは下カップ部に,スポブラは乳房の内輪部に大きな力学的定数を負荷することがプログラム上必要であることがわかった. 2.ブラジャー着用前後の形状と変位特性:乳房形状の個人差はプラジャー着用により,ある一定の範囲に集約され,ブラジャーのタイプによって形状が決まる傾向にあることがわかった.乳房はブラジャーの圧力に応じて変形するが,その変形は大きく正中側と体側側で異なることより,乳房の位置によって変位の特性を変える必要があることがわかった. 3.乳房形状のモデリングと着装シミュレーション:人体の3次元形状モデルを用いて,ブラジャー着用前後の形態を記述し,モデルの制御点のうち着用に伴って位置の変化する制御点を抽出するとともに,簡単な線形回帰式によってその変化を表現した.さらにその結果を用いて,ブラジャーの着装シミュレーションが行えることを示した.
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