研究概要 |
補整下着用の3次元設計システムには,女性の感性と生体情報の反映が不可欠である,そこで,今年度は,まず18〜26歳の日本人若年女性193名を対象に,ブラジャーの官能評価を実施し,多くの女性の感性をとらえて設計要因を抽出した.第1因子は運動機能性で,寄与率は35.5%を示し,これからの商品開発には運動機能性が重要であることが分かった.官能評価を設計システムに組み込むためには,心理量を物理量に変換する関数が必要である.そこで,官能評価を行った5種のブラジャーの衣服圧測定を行って官能評価との関係を求め,圧迫感と衣服圧の関係をとらえた.運動機能性に関与した静止時および運動時の安定感との関係をとらえた.次に,ブラジャー着用時の乳房の振動と衣服圧,ブラジャーのズレを同期させて時系列で計測した.運動時には乳房とブラジャーにズレが起きること,衣服圧は乳房の振動に伴って変動し,それはブラジャー下カップ部で顕著であることなどをとらえることができた.ブラジャーと乳房の物理的なメカニズムが解明できたことより,女性の生体情報を中心とした設計を行うことができるようになった. 一方,3次元人体計測値に基づく人体形状モデリングを確立し,乳房の変形則をとらえて,ヌード時からブラジャー着用時の形状を導出した.コンピュータによる設計支援システムの中に,人体の各種属性を組み込む理論が構築できたと考えている.
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