• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2000 年度 実績報告書

アラニンラセマーゼを標的とする食品中の低温細菌の特異的殺菌法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 12480026
研究機関奈良女子大学

研究代表者

横井川 久己男  奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (60230637)

キーワード低温細菌 / 食品衛生 / アラニンラセマーゼ
研究概要

低温細菌は自然界に広く分布し、低温保存食品の品質をしばしば低下させる。本研究では、細菌の増殖に必須な細胞壁合成系酵素であるアラニンラセマーゼを標的とする低温細菌の殺菌法を検討した。
古くから殺菌剤として利用されてきた有機酸の低温細菌に対する殺菌効果を検討したところ、クエン酸、酢酸、乳酸、コハク酸、リン酸は、0.01%濃度で、低温菌に対して高い殺菌効果を示した。グラム陽性低温菌は、グラム陰性低温菌よりも酸に対する感受性が高く、Pseudomonas fluorescensに対しては、リン酸のみが比較的高い殺菌効果を示した。また、細胞内アラニンラセマーゼ活性は、全ての酸で著しく不活性化された。
次に、種々の有機酸とエタノールの併用効果を調べた。各酸の濃度は0.01%、エタノール濃度は1%とした。これらの濃度では、常温菌の細胞内アラニンラセマーゼ活性は低下せず、殺菌効果も見られなかった。酢酸とエタノールの併用では、グラム陽性低温細菌のBacillus psychrophilusとBacillus psychrosaccharolyticusの生菌数が著しく低下したが、グラム陰性〓Pseudomonas fluorescensにはほとんど効果が見られなかった。リン酸とエタノールの併用は、細胞内アラニンラセマーゼ活性を検出限界以下に低下させ、生細胞数も99%以上低下した。クエン酸とエタノールの併用は、Bacillus psychrophilusとBacillus psychrosaccharolyticusの生菌数低下には効果が見られたが、Pseudomonas fluorescens対しては大きな効果が見られなかったが、クエン酸濃度を0.5%としたエタノールとの併用では、全ての低温細菌に対して良好な殺菌効果を示した。
以上のように、低温細菌由来アラニンラセマーゼは常温細菌由来本酵素に比べて、低濃度のエタノールや有機酸によって容易に不活性化された。また、低温細菌は常温細菌に比べて、低濃度のアルコールや有機酸とインキュベーションすることにより効果的に殺菌された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Yoko Okubo: "High Catalytic Activity of Alanine Racemase from Psychrophilic Bacillus psychrosaccharolyticus at High Temperatures in the Presence of Pyridoxal 5'-phosphate."FEMS Microbiol.Lett,. 192. 169-173 (2000)

  • [文献書誌] Reiko Hirasawa: "Leavening Ability of Bakers' Yeast Exposed to Hyperosmotic Media."FEMS Microbiol.Lett. 194. 159-162 (2001)

  • [文献書誌] Reiko Hirasawa: "Loading of Bakers' Yeast with Trehalose for Improvement of Its Freeze-tolerance."Biosci.Biotechnol.Biochem.. 65. 522-526 (2001)

  • [文献書誌] Kumio Yokoigawa: "Structure and function of Psychrophilic Alanine Racemase."J.Mol.Cat.B : Enzymatic. (印刷中).

URL: 

公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi