研究分担者 |
野瀬 正照 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (70269570)
三船 温尚 高岡短期大学, 産業造形学科, 助教授 (20181969)
菅谷 文則 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10275175)
清水 克郎 高岡短期大学, 産業造形学科, 講師 (70235646)
小堀 孝之 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (30279856)
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研究概要 |
中国漢代を中心とした16面の青銅鏡について材料科学的調査を行い,現段階で次のような結果を得た. 1.土中腐食を受けていない地金部分での金相学的調査から,ほとんどの鏡は何らかの熱処理が施されており,一部には鋳造のままと判断される鏡も存在した. 2.地金部分での組成分析結果から得られる計算密度と実測密度から腐食による重量減少率を評価した結果は土中腐食の進行度合と一致することが明らかとなった. 3.土中腐食を受けたほとんどの青銅鏡内部に純銅部の析出が観察された.その生成機構は明らかでないが,自然界で産出する自然銅のそれと同一であると推察した. 4.土中腐食を強く受けた青銅鏡内部で複雑な多くの腐食生成物が観察された.EDS, EPMA, μXRDおよびXPSによる分析,解析の結果,ガラス質Si02, Cu20, Cu(OH)2,純Cu,ガラス質Cu-Sn-Pb酸化物の生成が明らかになり,さらにガラス質Cu-Sn-Pb酸化物層内部に新たなPbS04ならびにSn有機化合物の生成が確認された. 5.我々は青銅器の土中腐食には微生物が大きく関与しているのではないかとの結論に達した.これを裏付ける証拠として,上で述べたPbS04ならびにSn有機化合物の生成があげられる.今後は青銅器の微生物腐食を重点的に調査,検討して行く予定である.
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