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2002 年度 実績報告書

古代青銅器の熱処理を中心とした材料科学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 12480029
研究機関高岡短期大学

研究代表者

横田 勝  高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (10029225)

研究分担者 宮原 晋一  奈良県立橿原考古学研究所, 総括研究員 (90250373)
三船 温尚  高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (20181969)
菅谷 文則  滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10275175)
野瀬 正照  高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (70269570)
清水 康二  奈良県立橿原考古学研究所, 主任研究員 (90250381)
キーワード金属製文化財 / 青銅器 / 材料工学 / 金相学 / 熱処理 / 土中腐食 / 腐食生成物 / 微生物腐食
研究概要

古代に製造された高錫青銅鏡にはその強靭化と光学的特性を高めるために熱処理が施されていたとする説と熱処理は施されていなかったとの説が主張されている.我々は材料工学的調査と実験考古学の観点から古代青銅鏡には熱処理が施されたとの説を支持するものであり、これを明確にするために、材料実験と古代青銅鏡の材料学的調査を進めているが、その過程にあって、熱処理による特殊な金属組織とそれに付随した異常な腐食層が形成されていることを確認した.最近、古代青銅鏡の腐食層を各種機器分析した結果、土中腐食には微生物が関与している事実を掴んだ.得られた主な結果を要約すると次のようになる.
(1)調査を行った18面の古代青銅鏡のうち,1面を除いた17面すべての鏡表面または内部で純Cu塊の析出が観察された.
(2)古代青銅鏡の密度の実測値と計算値から得られる密度減少率は土中腐食の進行度とよく対応する.
(3)鏡体内部または表面部で純Cu塊と同じ形態を示す多量の亜酸化銅塊も観察された.
(4)腐食最外層の第I層には非晶質のSiO_<1.7>が形成される.
(5)その内部の第IIおよび第III層にはCu_2OおよびCu(OH)_2が層状に形成される.
(6)さらにその内部第IV層にはCu, SnおよびPbの複合酸化物が生成するとともに,微量のPbSO_4およびSn-有機化合物が検出された.
(7)これら腐食層,特に第IV層には機械研磨した状態で約1ヶ月放置後に徽状のCu_2Sが多量に生成しているのが観察された.
(8)第IV層に隣接して層状ならびに微粒子状の純Cu塊が多量に生成する.
(9)今回の調査結果から,青銅器の土中腐食に微生物が関与している可能性を示唆する科学的調査結果が得られた.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Yokota Masaru: "Possibility of Bacteria-Induced Corrosion of Ancient Bronze Mirrors Found in Ground"Materials Transactions. 44・2(掲載決定). (2003)

  • [文献書誌] 横田 勝: "古代青銅鏡の土中における変質層の機器分析調査"日本金属学会誌. 66・10. 1030-1038 (2002)

  • [文献書誌] Yokota Masaru: "The research on the possibilities of microbiologically induced corrosion of the ancient bronze mirror -Discussion from the results of scientific investigations"第六回中国少数民族科技史及び西夏科技史国際会議論文集. 1-4 (2002)

  • [文献書誌] 横田 勝: "古代青銅鏡の内部で観察される純銅層の出現形態とその生成機構について"日本中国考古学会. 第2号. 111-118 (2002)

  • [文献書誌] 横田 勝: "古代青銅鏡の内部または表面で観察される純銅塊の出現形態を中心とした科学的調査"日本金属学会誌. 66・7. 708-714 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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