研究概要 |
研究の第二年目にあたる本年度は、主として問題解決能力を評価できる手法の開発を中心に研究をすすめた。この評価方法として以下の二種類を考えた。 一つは、問題場面限定型である。問題場面限定型とは、ある特定の一つの問題場面を設定して、そこに含まれる内容を基にして能力を調べようとするものである。このタイプのものは、生物の分類を事例にして、調査問題を6種類作成し、小学校3年生から高校3年生に至るまで、7,479人を対象にして調査を行った。その結果、第一に、どの学年についても生物学的特徴によるよりも日常的な観点から分類を行う傾向が強いこと、第二に、動物分類体系における各分類群の包括関係を十分に理解していないこと、第三に、学習直後は比較的適切に回答できるがそれ以後は学習効果がみられないこと、等が明らかになった。 もう一つの評価方法は、問題場面開放型である。これは、一つの調査問題の中で多くの問題場面に関わる問題に対して回答を求めるものである。この方法を用いれば、いくつかの問題場面に関わる内容を一枚の用紙の中で調べることができる。これについては電磁石を事例にして調査問題を作成し中学生に対して調査を行った。その結果、表面的には理解できているようにみえても、本研究で開発した方法を用いると、ほとんどが不適切な回答であることがわかった。 また、前年度中心にして行った問題解決能力を育成する教育内容構成に関しても引き続き研究を行った。
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