研究概要 |
本年度は、主として、ポートフォリオ評価法を中心にして自己評価と問題解決の関わりを研究してきた。その内容として以下の五点をあげることができる。 一つは、一枚ポートフォリオ法の開発である。これらの成果は、平成14年8月に横浜国立大学で開催された日本理科教育学会第52回全国大会で、その理念と基本的方法、小学校理科「ふりこの動きとおもりのはたらき」および中学校理科rいろいろな力の世界」の二つを事例にして発表を三件行った。 二つめは、この方法が理科以外でも適用可能なことを示すために、「学習感想を中心にしたポートフォリオ評価に関する研究-小学校第4学年算数科「面積」の学習を事例にして-」と題する論文を「教育実践学研究』(No.8)に発表した。 上記の他、三つめとして、問題解決能力の育成は素朴概念研究と深く関わっているので、「素朴概念から見た学びの構造」を日本理科教育学会編集『理科ハンドブックIこれからの理科授業実践への提案』(pp.12-15、平成14年7月)を、素朴概念を基礎にして問題解決能力を育成するための具体的授業として提案した。 また、四つめとして、「理科における新しい教育評価の理論と方法」(田中耕治編著『新しい教育評価の理論と方法(II)』日本標準、pp.157-209、平成14年10月)において、問題解決能力を育成する評価方法の提案も行った。 さらに、五つめとして、「高校生の遺伝子概念の理解に関する研究-学習前後における概念の変容を中心にして-」(「山梨大学教育人間科学部紀要』Vol.4,No.1、pp.46-61,平成14年12月)において自己評価と問題解決能力の育成との関わりを考察した。そこでは、新たに明らかになった問題として、学習者の学習前の既有の知識や考えと教育内容とのズレをあげることができる。これは、問題解決能力の育成に深く関わっている。
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