研究分担者 |
宮寺 晃夫 筑波大学, 教育学系, 教授 (10041055)
藤岡 完治 京都大学, 高等教育教授システム開発センター, 教授 (90030048)
生田 孝至 新潟大学, 教育人間科学部, 教授 (20018823)
平山 満義 東京農工大学, 工学部, 教授 (20110637)
澤本 和子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (50226081)
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研究概要 |
本研究はつぎの3つの目標を達成することを目的としてスタートし、所期の目標が達成された. (1)教育工学の研究は実証主義と客観主義とをその研究の基盤として発達してきたが、教育問題は複雑の度合いを深めており,学習者の内面の理解を前提とした学習指導をするためには、実践者が同時に研究者であるような研究の枠組みを必要としている。研究者の主観、価値観、解釈、内省などをも取り込んだ実践的研究はポストモダンの哲学的視点から検討した.これは質的研究と量的研究を融合するモデルが提案された (2)ネットワーク社会の到来によって、研究成果に厳密な普遍性や一般性を求める従来の研究とは違って、むしろ特殊性、領域密着性、固有性を前提とした実践知を追及することが求められている。大学の授業を対象として,現象学的視点から臨床的教育学の方法ならびにコミュニケーション理論の視点から実際のデータを参照しながら研究された.さらに授業設計でモデルと命題によって授業者の判断と行為を表現することによって、コンピュータ内に蓄積できる知識として表現することができるようになった. (3)わが国の教育では現在学力をどのように考えればよいかが問題になっている.相対評価から基準準拠の評価の必要性が指摘されているが,新学習指導要領の学力観を検討し、さらに学習成果を自己管理しながら自律的学習の可能性が検討された. (4)教師教育においては現職教育が重要であり,とくに大学の修士課程が教師に広く開放される必要があるが、このときに教育実践の研究方法論を組織的に教育するための研修プログラムを開発し、教師の将来像について検討された. 研究会は2年間に4回が実施されたが,いずれの回も終了間際まで議論が続いて止まることができないほどであった.本研究が開始される当時としては,情報化が進展するなかで教育実践に係わる研究の知見を,ネットワーク化することを予定していた.しかし,研究が進むにしたがってポストモダンに関する議論が白熱化し,あらためて近代学校の教育を再考する機会となった.その研究成果は報告書に示す通りである.
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