本研究は、日本とアメリカ両国において、3年間にわたって幼児が自発的にあらわす数及び量の表現を縦断的に調査し、文化的な差異の有無や、数・量の知識獲得に関わる経験に質的普遍性があるか否かを明らかにすることを目的とする。本年は研究の1年目にあたるので、幼稚園の3歳児を対象として自由遊び場面のビデオ撮影を開始した。1回の撮影では1人の幼児だけを追い(約1時間)、音声が収録できる範囲まで近づいて映すという手法をとった。これまでに明らかになった結果は以下の通りである。 1)日米ともに、3歳児での数・量表現は非常に少ない。 2)数表現と量表現を比較すると、日米ともに、量表現の方が多く現れる。 3)分析が終了した一部のデータ結果に基づけば、1回の撮影当りの出現数(平均値)は、日本の場合は、数表現:0.75、量表現:1.37、アメリカでは、数表現:1.11、量表現:1.78で、出現傾向にそれほど大きな差は見られなかった。 4)分析終了数の多い日本のデータ結果によると、数・量表現の現われ方には、大きな個人差があった。また、同一幼児であっても、遊びの内容によって差が見られた。 5)日本のデータでは、数表現や量表現を多く示した幼児は、同一の表現を繰り返し使う傾向があった。
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