研究課題/領域番号 |
12480054
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研究機関 | 聖徳大学 |
研究代表者 |
下田 弘之 聖徳大学, 人文学部, 教授 (00017360)
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研究分担者 |
古谷 三郎 聖徳大学, 人文学部, 教授 (20238695)
福沢 周亮 聖徳大学, 人文学部, 教授 (30008700)
吉島 茂 聖徳大学, 人文学部, 教授 (50011309)
岡 秀夫 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90091389)
長谷川 弘基 聖徳大学, 人文学部, 講師 (80306456)
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キーワード | 早期外国語教育 / 教員養成 / バイリングァル教育 / 母語 / 思考言語 / 態度 / 異文化理解 / 教科書分析 |
研究概要 |
本年度の研究は3方向で行われた。 1.アメリカ及びヨーロッパにおける低学年児童を対象にした外国語教育の調査。アメリカおよびヨーロッパでドイツ・ブラウンシュヴァイク、ケール、フランス・エルザス地方の教育現場を訪問し担当教員、地区の教育委員会等にインタヴューした。ヨーロッパでは1992年から始まった様々な試みの中で、いろいろな問題が表面に出てきている時期である。特に教員の能力によって生徒達の達成度に大きい差が出ていること。よい教員を確保するための教員養成制度、また雇用条件の改善などが特に問題となっている。 2.海外の動きに対して日本の現状を把握する意味で、シンポジウムを開催し、ヨーロッパでのこの10年間の展開を欧州会議の顧問の報告を受け、その一方で鎌倉の湘南国際学校の幼稚園での英語バイリングァル教育の実践、また聖徳大学付属小学校での英語の授業実践例を基に、現場での問題を取り上げた。 ここでの大きな問題は「英語教育」か、「英語を使った教育(文部省は英語に触れると言っている)」かの対立的考えである。後者はバイリングァル教育につながるが、その一方で母語教育、「思考言語」の習得の問題に突き当たる。前者についても「母語教育」の妨げになる可能性が指摘される一方、英語でのコミュニケーション能力の獲得が母語(日本語)のコミュニケーション能力を助長するという実例が出された。いずれにしても既存の科目教育的な成績重視のアプローチには問題があること、特に低学年においては、外国語・外国文化に対する開かれた異文化理解に通ずる態度attitudeの育成が最も重要だと確認された。 3.各国の既存の低学年児童用の教科書を収集し、そのデータベース化を開始した。教科書および教授法に関してそれぞれの国で大きな差があることが予測される。既に、文字の取り扱いについては、ドイツとフランスで大きな差が見られる。前者では文字の導入が非常におそく、第五学年で始めて本格的に行われるが、フランス語圏では最初から取り上げられる。いずれにせよ低学年では視覚情報を重要視していることは間違いなく、その意味で教材・教科書分析に際して画像情報のデータベース化の方法を開発する必要が明らかになった。 4.次年度に向けて日本における早期英語教育に関する意識調査をする予定で、その予備調査に開始している。
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