研究概要 |
ネットワーク上の等式制約解消系を活用し,グローバルコンピューティングを行なうための計算モデルを構築し,このモデルに基づくプログラミングシステムの開発を行なった. 1.等式解決系の理論的性質の解明 我々は,プログラミングシステムの中核をなす等式解決系の計算モデルとして,高階遅延ナローイングを採用している.本研究に先立ち我々が考案した高階遅延ナローイング計算系LNffでは,高階変数を含む等式を解くための推論規則を適用する場合の非決定性が高い.本研究では,計算機上での実装を容易にし,実行効率を向上させるため,LNffに内在する非決定性を除去するための改良を加えた.段階的に非決定性の除去を行なうことにより,LN1〜LN4と呼ぶ4つの新たな計算系を得た.また,提案した各計算系についてそれぞれ,計算モデルとして重要な性質である求解完全性の結果を証明した. 2.プログラミングシステムの実装 分散環境下でのグローバルコンピューティングを実現するプログラミングシステムの,基本部分の実装を完了した.このシステムをCFLP(Constraint Functional Logic Programming system)と呼ぶ.CFLPは,高階遅延ナローイングを計算モデルとして動作する関数論理型言語と,協調的に動作する制約解消系とを融合するシステムである.CFLPは,ナローイング計算系を基本とし,関数論理型言語インタープリタが,分散環境を構成する計算機に配置された複数の制約解消系と通信しながら,等式の求解を行なう.ナローイング計算系により項代数上での解を求め,ドメイン固有の解法を実現する制約解消系を必要に応じて呼び出して,問題固有のドメインで解釈される定数に対する操作を行なう.さらに,グローバルコンピューテーションを行うために,各ソフトウエアコンポーネントのインターフェイスをCORBAの仕様とする作業を行った.XMLを通信用の言語として用い,XMLをインターフェイス部分で内部形式に変換する処理を行っている.
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