研究概要 |
ネットワーク化した制約解決系による問題解決システムの設計と構築を行った.問題は等式の列として記述される.本システムは,関数論理型プログラミングに基づいた等式求解系と,等式が定義される領域固有のアルゴリズムを実現している解決系が分散配置され,それらの協調により問題の解決を行うものである.より具体的には, 1.全ての解決系の求解領域上で問題記述を可能とする関数論理型言語とその処理系, 2.解決系間の協調方法を記述する協調言語とその処理系, 3.インターネット等の開かれたネットワーク上で,解決系間で問題の送受信を可能とする通信フレームワークから構成されている. 1については,高階遅延ナローイング計算系の拡張および健全性,完全性の解明を行った.さらに計算系を記号処理言語Mathemaitcaを活用し実現した. 2の協調言語は,ユーザが様々な解決系を組み合わせ,より高度な求解を実現する新たな解決系を記述するための言語である.この言語処理系をJava言語で実装し,マルチスレッドを活用した効率の良い解決系間の協調を実現した. 3については,通信プロトコルとデータの相互運用性を得るために,CORBAとMathMLを活用し通信フレームワークを実現した.この通信フレームワークは,CORBAオブジェクトラッパ,XML DOM APIのIDL valuetype型による実装,求解に必要な解決系を発見サービスの各ソフトウエアコンポーネントから構成されている.この通信フレームワークより,解決系間で等式データが透過的に送受信できることが可能になった. 以上の成果から,オープンな環境下で解決系の協調により,等式の求解を行うシステムがほぼ完成し,次年度に向けてシステムの応用の研究を開始した.
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